水曜日, 9月 24, 2025
ホーム調査レポート都市の魅力を、身体的に経験した記憶や関係の中から捉え直し「このまち、なんかいいよね」を言語化、共有するLIFULL HOME'S総研 最新研究『Sensuous City 2025』発刊

都市の魅力を、身体的に経験した記憶や関係の中から捉え直し「このまち、なんかいいよね」を言語化、共有するLIFULL HOME’S総研 最新研究『Sensuous City [官能都市] 2025』発刊

全体1位は東京都千代田区・中央区。生活満足度は高い大都市、繁華街が廃れていく30万人未満の都市

事業を通して社会課題解決に取り組む株式会社LIFULL(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:伊東祐司、東証プライム:2120、以下「LIFULL」)の社内シンクタンク「LIFULL HOME’S総研」は、研究報告書『Sensuous City(センシュアス・シティ) [官能都市] 2025』を2025年9月24日(水)に発刊しました。

LIFULL HOME’S総研 研究レポート「センシュアス・シティ2025」

本報告書の前身となる『Sensuous City[官能都市]』で2015年、人々が都市や街に対して「なんかいいよね」と漠然と感じる都市の魅力とその価値を言語化し、広く社会で共有できる客観的数値「新しい都市評価指標」を提案しました。指標は、ランキング形式で各都市の評価結果を示しましたが優劣をつけるものではなく、現実にその都市の生活者が魅力に感じ、そこに住む理由、愛着や誇り、都市の価値に光を当てました。

人口減少と高齢化が進行するなか、この10年でパンデミックや豪雨や震災を経験。テクノロジーの進化は加速し、生活環境は日々大きく変化しています。また、大規模なタワマン再開発や不動産価格の高騰、小規模事業者の衰退、市街地開発など都市は大きな曲がり角に立っています。

『Sensuous City [官能都市] 2025』は、2015 年版の「関係性」と「身体性」の2つフレームを踏襲しながら、時代の変化を捉える8指標・32項目で新たに調査しました。調査対象は人口20万人以上の中核市にも拡張し、人口100万人以上の都市は中心部と郊外部など立地特性を考慮してブロックに分割、4万人超の実際の住民の生活実感値に近いエリア区分での評価を行いました。

LIFULL HOME’S総研は、『Sensuous City[官能都市]2025』を通して、工学や経済の合理性だけでは測れない都市の魅力を、身体的に経験した記憶や関係の中から捉え直すことで、「自分にとって本当に幸せな都市はどこか」、「住んでいる都市をより魅力的にするにはどうしたらいいか」を考えるきっかけとしていただくために発表します。

調査研究『Sensuous City [官能都市]2025』-身体で経験する都市あるいは都市のナラティブ

(LIFULL HOME’S総研公式サイト)
レポート ダウンロードURL: 
https://www.homes.co.jp/souken/report/202509/ 

<トピックス>

・生活満足度は高い大都市、繫華街が廃れていく30万人未満の都市

・大都市の中で、魅力を失っていないセンシュアス(官能的)な都市とは?
・センシュアス度の高かった街の特徴、ランキングの変動をもたらした人々の行動

生活満足度は高い大都市、繫華街が廃れていく30万人未満の都市

「お住まいの地域(自宅がある市区町村を中心に、主な生活圏)にどの程度満足しているか」を10点満点で聞いたところ、「全体」の都市生活の満足度の平均は6.53点で、1/3以上が8点を超えています。なかでも東京23区が最も高く6.78点で、おおよそ人口規模が大きいほど平均値も高いですがが、人口30万人以上の平均値のみ人口50万人以上を上回っています。

一方で、住んでいる都市の雰囲気の昨今の変化について聞いたところ、「繫華街や商店施設が廃れてきたと感じる」という回答は全体30.1%に対し、東京23区(23.9%)や100万人以上の都市(24.7%)でした。一方で、人口30万人未満の都市は44.3%とでした。人口30万人以上(33.5%)や人口50万人以上(33.1%)の都市と比べても、人口30万人未満では10ポイント以上高く、ここ5,6年での地域の繫華街の衰退を感じていることが分かりました。

大都市の中で、魅力を失っていないセンシュアス(官能的)な都市とは?

50位までのランキングを、前回調査と今回調査とで比較したところ、「大都市、さらにその中心部が躍進」しています。今回調査のトップ10をみると、東京23区、横浜市、大阪市、福岡市の各エリアのみで占められています。また、「神奈川県_横浜市西区」、「神奈川県_横浜市中区」などの横浜市の中心エリアや、「東京都_渋谷区」、「東京都_港区」など、東京23区でも中心部のエリアが順位を上げています。

トップ20をみても、札幌市(「北海道_札幌市中央区」)、神戸市(「兵庫県_神戸市東灘区、灘区」)、名古屋市(「愛知県_名古屋中区、東区」)、および東京都下(「東京都_立川市、昭島市」)といった、大都市、もしくは準大都市の中心エリアのみが加わるに留まっています。一方、いわゆる地方都市は、「金沢市」が前回8位から今回36位に順位を下げています。また、吉祥寺を擁する「武蔵野市」も前回3位から39位に大きく順位を落としました。

今回調査で地方都市は、20位台以降に「宮崎県_宮崎市」、「長野県_松本市」が入るなど、前回調査時には登場しなかった顔ぶれがみられるようになりました。しかし、2015年のレポートで地方都市のモデルとして注目した都市が、相当に順位を落としています。

LIFULL HOME’S総研「センシュアス・シティ2025」センシュアス度スコアランキングTOP10
LIFULL HOME’S総研「センシュアス・シティ2025」センシュアス度スコアランキングTOP11-30
LIFULL HOME’S総研「センシュアス・シティ2025」センシュアス度スコアランキングTOP31-50
LIFULL HOME’S総研「センシュアス・シティ2025」センシュアス度スコアランキングTOP51-110
LIFULL HOME’S総研「センシュアス・シティ2025」センシュアス度スコアランキングTOP111-167

センシュアス度の高かった街の特徴、ランキングの変動をもたらした人々の行動

「センシュアス度の上がった都市」において、人々の行動がどう変わったのかについてみると、センシュアス度が上昇した都市では高くなり、下落した都市では低くなっている項目、因子がありました。

・地域のボランティアやチャリティに参加した(因子【親密な共同体】)

・店の人や他の客とおしゃべりしながら買い物をした(因子【親密な共同体】)

・地元産の食材や郷土料理を楽しんだ(因子【食文化】)

・地酒、地ビールなど地元で作られる酒を飲んだ(因子【食文化】)

・公園や路上で演奏やパフォーマンスしている人を見た(因子【街のライブ感】)

・活気ある街の喧騒を心地よく感じた(因子【街のライブ感】)

・木陰で気持ちよい風にふかれた(因子【街のリトリート】)

・遠回り、寄り道していつもは歩かない道を歩いた(因子【ウォーカブル】)

これらの項目から、センシュアス度が向上した都市の特徴が浮かび上がってきます。

①一人の時間を楽しめるカフェや、美味しいレストランが十分に多く、同時に地元産の食材を用いた料理や地場のビールなど、豊かな「食」の経験が維持されることが大事。

②きれいな青空や夕焼けや小鳥のさえずり、木陰での気持ちよい風など感じられる環境であることが大事。

③路上での演奏・ライブをはじめとする都市らしい喧騒だけなく、歩くこと自体を楽しめることも重要。

LIFULL HOME’S総研 所長 島原 万丈からのコメント

LIFULL HOME’S総研 所長 島原万丈

世の中には数多くの都市評価調査があります。しかし、都市評価の本質的な役割は、単に都市を点数化して並べることではなく、「どのような視点で都市を捉えるべきか」という「都市を見る目」を提示することにあると考えます。2015年に発表した『Sensuous City[官能都市]』は、インフラや施設の充実、あるいは経済的な指標を重視する先行調査に対して、「動詞で都市を測る」というユニークな評価方法を提案しました。それから10年。私たちの都市は大きな転換点を迎えています。全国的に広がる市街地再開発は、土地の高度利用を進め、機能性や安全性を高める一方で、街の「らし

さ」を希薄にしてきました。加えて最近の建設費の高騰や人手不足は、従来の容積率緩和に依拠した都市再生の手法に限界を突きつけています。また、2020年に発生したパンデミックは、私たち都市生活者のライフスタイルを大きく変容させています。

こうした変化を踏まえた『Sensuous City 2025』では、前回から継承する「関係性」と「身体性」のフレームを基盤に、評価指標となるアクティビティ項目を時代に合わせてチューニングしました。さらに今回は、新たに「ナラティブ」という概念を導入して都市がセンシュアスであることの意義について深い分析を試みています。ナラティブとは、人々の経験や記憶、さらには歴史や文化が重なり合って紡がれる都市の「語り」のことです。それは都市の独自性を形づくる声であり、暮らしの喜びや誇りを支える基盤でもあります。

センシュアスな都市体験がナラティブを育み、ナラティブが都市の幸福やシビックプライドを増幅させる――この循環こそが、センシュアス・シティの大きな意義です。本調査が、これからの都市政策やまちづくりの新たな指針を描くための契機となることを願っています。

<プロフィール>

1989年株式会社リクルート入社。2005年より リクルート住宅総研。2013年3月同社を退社後、同年株式会社LIFULL(旧株式会社ネクスト)でLIFULL HOME’S総研所長に就任。一般社団法人リノベーション協議会設立発起人・エグゼクティブアドバイザー、リノベーション・オブ・ザ・イヤー審査委員長。東京大学大学院非常勤講師、内閣府地方創生推進アドバイザーほか、国土交通省、地方自治体、業界団体の各種アドバイザー・委員を歴任。主な著書に『本当に住んで幸せな街 全国官能都市ランキング』(光文社新書)がある。

本報告書は希望される方に無料(※)で進呈いたします。(無くなり次第終了)

ご希望の方はLIFULL HOME’S総研の公式サイトよりお申込みください。また、同サイトにてPDF版のダウンロードも可能です。

※送料のみ着払い・宅配便にてご負担をお願いいたします。

LIFULL HOME’S総研公式サイト:https://www.homes.co.jp/souken/report/202509/

『Sensuous City [官能都市] 2025』の概要

A4版 フルカラー272ページ

目次:

0. Prologue

・巻頭エッセイ センシュアス・シティを歩く

・本報告書の狙いと問題意識 なぜいま、再び、センシュアス。シティなのか

島原 万丈 (LIFULL HOME’S総研 所長)

1. Academic Perspectives

[1] 都市・身体・物語-空間の現象学からティム・インゴルドのタスクスケープ論へ-

渡會知子 (横浜市立大学都市社会文化研究科准教授)

[2] 均質化した街の「顔」:都市に個性は必要なのか?

清水千弘 (一橋大学大学院ソーシャル・データサイエンス研究科教授)

2. Surbey Data Analysis

オリジナルアンケート調査分析①

官能都市調査2025

 橋口理文・吉永奈央子(株式会社ディ・プラス)

[Ⅰ] 人々は都市をどのように感覚・行動しているか

[Ⅱ] センシュアス・シティとは何か

[Ⅲ] センシュアス・シティであるために無視できないこと

[Ⅳ] センシュアス・シティがもたらすもの

オリジナルアンケート調査分析②

官能(センシュアス)から見る都市のウェルビーイング

 有馬雄祐 (九州大学大学院 人間環境学研究院 都市・建築学部門 助教)

3. Feature Report

[寄稿1] 成熟社会の共感都市再生

山田大輔 (前・国土交通省都市局まちづくり推進課官民連携推進室長/現・柏市役所副市長)

[インタビュー] 都市計画の未来:「Sensuous」と「迂回」の視点から

 吉江俊 (東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻講師)

<聞き手>島原万丈 (LIFULL HOME’S総研所長)

[取材レポート1] センシュアス・シティのつくりかた

渋谷雄大 (LIFULL HOME’S PRESS編集部)

[取材レポート2] まちの魅力を支える中小事業者たち 居場所を、風景を守るー事業継承の“今と課題”

中川寛子 (株式会社東京情報堂 代表取締役)

[寄稿2] みんながデベロッパーになる時代

林厚見 (株式会社スピーク共同代表/「東京R不動産」ディレクター)

4.Conclusion

・終章 Make The City Sensuous

島原万丈 (LIFULL HOME’S総研 所長)

▼ これまでの報告書 ※()内は発行年

・STOCK & RENOVATION 2014(2014)

・Sensuous City [官能都市] – 身体で経験する都市;センシュアス・シティ・ランキング(2015)

・寛容社会 多文化共生のために<住>ができること(2017)

・住宅幸福論 Episode1 – 住まいの幸福を疑え(2018)

・住宅幸福論 Episode2 幸福の国の住まい方(2019)

・住宅幸福論 Episode3 ひとり暮らしの時代(2020)

・地方創生のファクターX ~寛容と幸福の地方論~(2021)

・“遊び”からの地方創生 ~寛容と幸福の地方論Part2~(2022)

・地方創生の希望格差 ~寛容と幸福の地方論Part3~(2023)

・STOCK & RENOVATION 2024(2024)

すべての報告書は、LIFULL HOME’S総研の公式サイトよりダウンロードいただけます。
https://www.homes.co.jp/souken/report/

<調査概要『Sensuous City [官能都市] 2025』-身体で経験する都市あるいは都市のナラティブ>

調査方法:インターネットリサーチ

調査時期:2025年6月9日~6月24日

調査対象:47都道府県の県庁所在都市、および左記の政令指定都市、および中核市に居住する20歳~64歳までの男女。ウエイトバック集計( WB 集計)を行っている。

有効回収数:44,472

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