複数の産業別年金基金が所有し、プライベート・マーケットにおけるグローバルな運用会社であるIFMインベスターズ(IFM)と、英国最大の加入者数を誇る年金制度であるNest(National Employment Savings Trust、国家雇用貯蓄信託)は、一定の条件を満たすことを前提に、NestがIFMの親会社であるインダストリー・スーパー・ホールディングスの株式10%を取得し、継続的な大規模投資を行うとする拘束力のある合意に達しました。
これにより、NestはIFMの既存の株主である、16のオーストラリアの産業別年金基金のグループに加わり、IFMの30年の歴史において唯一のオーストラリア国外の株主となります。
Nestは英国の労働人口の3分の1以上にあたる加入者のために480億ポンドを超える退職資金を運用しています。IFMの既存の株主は、オーストラリアの労働人口の半数以上にあたる加入者のために1兆豪ドルを超える退職資金を運用しています。本出資により、年金基金が共同で保有する有数の運用会社であるIFMは、年金基金とその加入者のための取り組みをさらに強化することが可能になります。
今回の戦略的提携は、「働く人々の退職資金を投資・保護・成長させる」という共通の目的に基づいて構築されています。
以下の点から、Nestとの今回の合意は、IFMの成長と多様化戦略を推し進めるものと期待されます。
Nestは、
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今後12~18ヶ月の間に、インフラエクイティ、インフラデット、プライベートエクイティの3つの新しいプライベート・マーケット戦略立ち上げの基盤となる投資を行います。
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今後数十年、IFMの新しい戦略を継続的に支援し、プライベート・マーケット投資のサービスプロバイダーとしてIFMを優先的に考慮します。
Nestは、2030年までにIFMが運用する投資を通じて、実物資産やプライベート・マーケットに約50億ポンドを投資することに加え、インフラやプライベートエクイティにおける新たな投資機会を共同で創出することを目標にしています。プライベート・マーケットへの投資には、特別な専門知識と規模が必要とされます。
多くの世界の年金基金や豪州の退職年金基金は、IFMモデルを運用業界における目標の共有の成功モデルとして評価しています。IFMは、年金基金が共同で保有する投資ビークルの世界的な代表例です。
2019年以降、Nestは加入者の退職資金の運用成果の向上を支援するためにプライベート・マーケット資産へのエクスポージャーを増やしており、プライベート・マーケットへの配分を17%から30%に増やす計画です。IFMは、過去30年間株主であるオーストラリアの産業別年金基金に対して提供してきたように、幅広いプライベート・マーケット投資に関する運用能力と専門知識をNestに提供していきます。
今回の合意は、共同所有の運用会社を通じて実現される規模と機会の拡大と、共通の目的と強固な文化的な一致によって可能となるリスク調整後リターンへの注力が特徴となります。
NestはIFMと協力し、IFMのインフラストラクチャー、デット、プライベートエクイティにおける新たな投資戦略を開発する予定です。その際、英国における新たな投資機会に重点的に取り組む予定です。Nestの加入者も、英国におけるIFMの既存の案件のソーシングと運用能力から恩恵を受けることになります。
IFMと英国政府は、2027年までにIFMが英国に100億ポンドを投資することを目標とする覚書を締結しています。IFMはNestと共同で英国のエネルギー構想を発表し、他の英国の年金基金やオーストラリアの退職年金基金は、2030年までにクリーンエネルギーを実現するという英国政府のミッションに貢献するために、年金資金を有効活用する政策を推奨しています。
本取引の完了は、規制当局や株主の承認など、一定の条件が満たされることが条件となります。NestとIFMは2025年中頃までにこれらの条件が満たされるものと見込んでいます。
IFMインベスターズの最高経営責任者(CEO)デイビッド・ニールのコメント
「IFMは、世界で最も急速に成長している年金基金が株主となっており、それらの株主は、共同所有の運用会社を通じてプライベート・マーケットに投資することのメリットを認識しています。今回の提携により、IFMは世界中の新たな投資機会や市場への拡大と、特に英国への進出が可能となり、オーストラリアの働く人々にとっては、退職資金のリスク調整後リターンを実現する可能性のあるグローバル市場へのアクセスが拡大します」
Nest InvestのCEOマーク・フォセットのコメント
「Nestは、世界の年金業界における国際的なプレーヤーとして認められたことを誇りに思います。世界有数のインフラ投資運用会社であるIFMと提携することで、2030年までに運用資産(AUM)の30%をプライベート・マーケットに投資するという目標に向けた重要な一歩を踏み出します。Nestは、IFMの専門知識と規模を活かし、加入者により高いリターンをもたらすプライベート・マーケットの機会をさらに開拓できることを楽しみにしています。すでに100億ポンドの運用資産を英国内に投資していますが、これを200億ポンドにまで増やすことを目標としており、IFMとの提携は、この目標への達成を後押しするものです」
IFMインベスターズ会長キャス・ボウテルのコメント
「Nestとの戦略的提携は、オーストラリアのスーパーアニュエーションシステムの規模を浮き彫りにするものであり、世界的に大きな影響力を持っていることを示すものです。今回の提携は、IFMの歴史における重要なマイルストーンであり、IFM、産業別年金基金、Nestの『働く人々の退職資金を投資・保護・成長させる』という目的と価値観が一致した結果、実現したものです」
Nestのブレンダン・マカフィティ会長のコメント
「Nestでは、一般の年金貯蓄者にとって手の届かない投資機会があってはならないと考えています。
IFMとの新たな提携は、あらゆるツールを活用して、加入者のリスク調整後リターンを向上させるという継続的な取り組みを示すものです。IFMとの提携を通じて、英国の一般の年金貯蓄者のために、より洗練された投資選択肢をさらに充実させることができ、より安全な老後資金の構築を支援することを目指します。英国の労働人口の3分の1以上がNestで貯蓄している今、より多くのプライベート投資の機会へのアクセスが可能になることで、私たちは加入者の雇用、地域社会、そして道路や橋などの重要なインフラへの投資を増やすことができるでしょう」
IFMインベスターズについて
IFMインベスターズは30年以上前に、働く人々の退職資金を長期にわたり、投資・保護・成長させることを目的として設立されました。豪州の複数の年金基金を株主とし、2024年12月31日現在、2,300億豪ドルの運用資産残高を有しています。IFMインベスターズは、優れた長期的なリスク・リターン特性を有し、地域社会への幅広い経済的・社会的利益をもたらす資産に焦点を当てることで、目線を共有する世界中の745の投資家の利益を優先しています。メルボルン、シドニー、ロンドン、ベルリン、チューリッヒ、アムステルダム、ミラノ、ニューヨーク、ヒューストン、香港、ソウル、東京のオフィスを拠点にグローバルに事業を展開し、インフラストラクチャー・エクイティおよびデット、上場株式、プライベートエクイティ資産を対象に運用を行っています。詳細については、www.ifminvestors.comをご覧ください。
Nestについて
Nestは、自動加入制度の導入後に、英国の労働者全員に優れた貯蓄先を提供するために政府によって設立されました。設立以来、同制度は成長を続け、現在では1,370万人以上の加入者を擁する国内最大の職域年金制度となっています。2020年代後半には、労働人口の3人に1人がNestの年金貯蓄制度を利用すると予想されています。
Nestの加入者は、受賞歴のある投資戦略と業界屈指の多様性を誇る確定拠出年金ポートフォリオの恩恵を受けています。リスクを慎重に管理しながら長期的な成長を目指す責任投資を実践しています。
Nestは、加入者のために480億ポンドを超える資産を保護し、運用しています。毎月約5億ポンドの新規拠出金を受け入れており、今後もさらに増加すると予想されています。10年後の運用資産は、1000億ポンド近くに到達する予定です。