オフィススペースの効率化傾向により、市場全体の需要回復は緩やか
大手総合不動産コンサルティングサービス・投資運用会社であるコリアーズ・インターナショナル・ジャパン株式会社(代表:小笠原 行洋、本社:東京都千代田区、NASDAQおよびTSX:CIGI、以下コリアーズ・ジャパン)は、本日、「東京オフィスマーケットレポート|2023年第3四半期(7‐9月期)東京主要5区・グレードAオフィス 」を発表しました。当レポートは、コリアーズ・ジャパンが、東京主要5区(千代田区・中央区・港区・新宿区・渋谷区)のグレートAオフィスビル※1の賃貸オフィス市況と今後の見通しについて、独自に収集したデータに基づいて分析したものです。
東京主要5区の賃貸オフィス市場では、大型物件の竣工により2023年7~9月期の新規供給が10万坪に迫る水準となりました。大型の新築ビルでは、竣工時点で入居テナントが決まっていない空室が一部見られましたが、竣工後もテナントの内定が順調に進行し、ネットアブソープション※2は前期比で大幅に増加しました。現時点では大型物件の供給によるマーケットへの大きな影響は見られず、賃料水準および空室率は、ほぼ横ばいで推移しています。
空室率と賃料トレンド:新規供給量増大の一方で、空室の増加は限定的
東京主要5区では、2023年の7~9月に約10万坪の新築物件が供給され、通年で予定されているグレードAオフィス供給の半分以上がこの期間に集中しました。港区における「虎ノ門ヒルズステーションタワー」と「麻布台ヒルズ森JPタワー」は、今年最大の新築物件となりました。需要は徐々に回復しており、新しいワークスタイルに合わせたオフィス移転を検討している企業が増えています。大量の新規供給により、空室の増加が懸念されましたが、テナントの内定が進み、市場は安定しています。ただし、新築物件では工事の手配や各種申請に時間がかかるようになり、入居までに要する時間が長期化しています。したがって、これらの物件に移転するテナントによる二次空室の影響は、現時点では限定的です。
2023年の新規供給量は合計20万坪程度で、過去5年間で2番目に多い供給となる見込みです。新しいワークスタイルが移転需要を刺激し、市場は想定よりも安定しているため、2023年末までに、年間の需要が供給を上回り、空室率が低下する可能性もあります。
しかし、取引が活発になりつつある一方で、オフィススペースの効率化が進んでおり、需要の回復は緩やかで、賃料水準の本格的な回復には時間がかかると考えられます。
エリア動向:再開発が進む日本橋・八重洲・京橋エリアでは賃料が上昇基調
日本橋・八重洲・京橋エリアにおける再開発が進行する中、一部の大型物件でのテナント退去により空室率が上昇しましたが、賃料は依然として上昇基調を維持しています。このエリアと賃料が緩やかな下落傾向にある丸の内・大手町エリアとの差は縮まりつつあり、相対的な競争力の向上が見られます。一方、渋谷エリアでは空室率が低水準を保ち、2023年10~12月期の竣工予定物件の内定状況も好調です。特にテック企業を中心とした底堅い需要が顕著です。その他のエリアにおいては、空室率は概ね下落傾向にあり、需要の回復が続いていますが、賃料水準は依然として横ばい傾向にあります。
「東京オフィスマーケットレポート|2023年第3四半期(7‐9月期)東京主要5区・グレードAオフィス」は、以下のリンクよりダウンロードいただけます。
https://www.colliers.com/ja-jp/research/tokyo-office-market-q3-2023
※1 グレートAオフィス:基準階面積が概ね300坪以上の主に賃貸に供されるオフィスビルから、弊社独自の基準で選定。
※2 ネットアブソープション(吸収需要):テナントの入居した空室面積の合計を算出し、需要面積の増加分を推計する指標で、[期初空室面積+期中新規供給面積-期末空室面積]により算出する。
コリアーズについて
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