63.2%が継続的に実施、ホームステージングが販売戦略の“ニューノーマル”に

中古住宅流通促進の新しい販売手法として、日本の住まいや暮らしに合わせ、住まいの価値や暮らしの質を高める日本版ホームステージング®※1の普及活動およびホームステージャー®※2の育成を行う一般社団法人日本ホームステージング協会(東京都江東区/代表理事:杉之原冨士子、以下日本ホームステージング協会)は、2024年におけるホームステージングの実態調査を実施しました。
調査結果は「ホームステージング白書2024 Vol.8」として2025年7月24日より日本ホームステージング協会のホームページで公開いたします。
日本ホームステージング協会実態調査はこちら
NAR(全米リアルター協会)※3のホームステージングに関する統計データを参考に実施いたしました。
この調査は、全国のホームステージングを導入している不動産関連会社および賃貸オーナー、ホームステージングを提供する各会社、ホームステージャーなどを対象に、不動産売買、不動産賃貸、ホームステージングの事業別に分けて行いました。
その結果、住宅需要の高まりにより東京でのホームステージングの実施が大きく増加し、不動産売買、賃貸においてホームステージングが「早期成約」「空室対策」「収益アップ」などに効果的な対策として認知され、継続的な戦略として定着しつつあると推測される結果となりました。
■調査概要
・調査名:第8回ホームステージング実態調査
・調査対象期間:2024年1月1日~2024年12月31日
・調査実施期間:2025年4月14日~2025年4月30日・2025年5月12日~2025年5月30日
・回答方法:インターネット調査(法人会員、個人会員他)
・回答数:307(不動産業171、ホームステージング業他136)
ホームステージング実態調査サマリー
1.ホームステージングの実施地域:東京が大幅に増加、主に首都圏中心
2.ホームステージング導入後の継続期間:不動産業の63.2%が1年以上継続して実施
3.ホームステージング実施基準:売却しにくい物件、長期空室の賃貸物件が最多回答
4.ホームステージング費用相場:売買10~20万円未満、賃貸は家賃の1~1.5カ月分
5.ホームステージング後成約までの平均期間:売買約70%、賃貸約82%が2カ月以内
6.ホームステージング実施方法:ホームステージング専門業者に依頼するが最多(売買物件)
7.ホームステージング導入による賃料アップ効果:60.6%賃料アップ、5%以上アップ10.6%
8.ホームステージング平均提供価格:5~10万円未満が最多(専門業者の提供価格)
1.ホームステージングの実施地域:東京が大幅に増加、主に首都圏中心
コロナ禍の収束と共に、東京の人口が一極集中し、それに伴い住宅需要の高まりによって、東京におけるホームステージングの実施が昨年よりも7.1%と大きく増加しています。東京以外の地域については、昨年の状況と大きな変化はなく、首都圏を中心にホームステージングが実施されています。住宅需要が高く競争の激しいエリアで、物件の印象が成約に大きく影響するホームステージングの有効性が認識されていると推測されます。

2.ホームステージング導入後の継続期間:不動産業63.2%が1年以上継続して実施
5年以上の継続が22.2%と高い割合となっており、効果を実感し、継続的な戦略としてホームステージングが導入されています。これは、業務プロセスの一部として導入している企業が一定数存在していると考えられます。ホームステージングの効果が安定的、長期的に評価され、標準的な手段になり始めたと言えるでしょう。また、ホームステージング後の反応で、内覧後の成約率が上がったという回答が圧倒的多数を占め1位でした。この効果が評価され、貸主、売主の満足度も84.2%と非常に高く、ホームステージングを継続する大きな要因と言えます。

3.ホームステージング実施基準:売却しにくい物件、長期空室の賃貸物件が最多回答
売買では築年数が古い、駅から遠いなど「売りにくさ」、賃貸では、「空室期間の長期化」が課題になっている物件に対しホームステージングが打開策として実施されています。
今回注目した点は、昨年下位だった「高額物件にホームステージングを実施する」が売買、賃貸とも2番目に浮上していることです。これは、東京都内を中心とした不動産価格の高騰や高額物件の増加、家賃の上昇などにより、物件の差別化ニーズが高まりホームステージングが増加したと考えられます。


4.ホームステージング費用相場:売買10~20万円未満、賃貸は家賃の1~1.5カ月分
昨年売買では、自社での実施のホームステージングが主流で、「費用は5万円未満」という回答が最多でした。今回、「10~20万円未満」がホームステージングの費用相場となっています。これは、高額物件の実施が増加し、演出の質が求められ、専門業者への依頼が増加していることも影響していると考えられます。賃貸のホームステージング費用も1カ月~1.5カ月分と物件のグレードや地域によって柔軟に調整し、導入しやすく、費用の目安として明確に示されています。


5.ホームステージング後成約までの平均期間:2カ月以内に成約 売買69.9%、賃貸81.8%
3カ月以内に成約は、売買では92%、賃貸では88.5%と多くの物件がホームステージング実施後に短期間で成約していることが分かります。これは、不動産流通にとって大きな指標となり、売主、貸主にとっては大きなメリットになるでしょう。注目点は、短期間で成約している物件が、「売却しにくい物件」や「長期空室物件」という点です。(3.実施基準参照)条件の悪い物件でもホームステージングをすることで、魅力的な物件として印象に残り、内覧後の高い成約率につながっていると言えます。


6.ホームステージング実施方法:ホームステージング専門業者に依頼するが最多(売買物件)
昨年は「自社でホームステージングを実施する」が1位でしたが、今回初めて「ホームステージング専門業者に依頼する」が1位となりました。これは、高価格帯の物件が増加し、差別化のニーズの高まりから、演出の質が求められプロへの依頼が増加していると考えられます。また、ホームステージングの効果が認知され、さらに専門業者も増加し、サービスの多様化や導入しやすい価格・プランの提供が依頼しやすさを高める要因となっていると推測されます。

7.ホームステージング導入による賃料アップ効果:60.6%が賃料アップ、10.6%が5%以上アップ
ホームステージング導入により6割超が賃料を上げても成約に至ったと回答しています。
価格競争の激しい賃貸市場で賃料の上昇に効果があったことは、非常に重要な成果といえます。特に、賃料が5%以上アップした10.6%については、ホームステージングが収益性に直結する重要な要素であることが注目されます。
「自社でのホームステージング実施」が賃貸の主流であることは昨年と変わりません。
今後は賃貸の分野でも、物件の見せ方で価値を上げる戦略として認知され、ホームステージングが更に導入されることを期待します。

8.ホームステージング平均提供価格:5~10万円未満が最多(専門業者の提供価格)
ホームステージングの依頼元は昨年と変わらず不動産売買仲介会社から売買物件のホームステージングを依頼されていることが圧倒的に多いことが分かりました。今回、不動産売買で「ホームステージング専門業者に依頼する」が1位となりました。(6.実施方法参照)これは、首都圏を中心に高価格帯の物件が増加し、差別化ニーズの高まりから質が求められ、プロへの依頼が増加したと考えられます。また、専門業者も増加し、サービスの多様化や5~10万円未満と導入しやすい提供価格やプランも依頼しやすくなった一因だと推測されます。今後は、専門業者の競争がさらに激しくなると予想されます。

※1:ホームステージング®
空間演出で住まいや暮らしに合わせ、住まいの価値や暮らしの質を高めること
(片づけ・掃除・収納、廃棄・保管などこれらに関連する物流の知識、インテリア・小物の活用、遺品整理を含めて、より快適な暮らし、住み心地のよい住まいを実現すること)
※2:ホームステージャー®
住まいや暮らしの悩みを解決するホームステージングの知識や技術を習得した資格取得者
※3:NAR(全米リアルター協会)National Association of REALTORS®
不動産仲介業者150万人が加盟するアメリカ最大の不動産業界団体
日本ホームステージング協会はNAR国際会員(IRM)

一般社団法人 日本ホームステージング協会 広報事務局
一般社団法人日本ホームステージング協会 代表理事:杉之原冨士子
設立:2013年8月19日
事務局:〒135-0042 江東区木場6-4-2 KIビル4F
URL: https://www.homestaging.or.jp
メール:customer@homestaging.or.jp
TEL 03-6810-5708 FAX 03-6810-5718