
近年、建設業界では職人不足や高齢化が深刻化しており、特に賃貸住宅の外装施工では、人材確保の難しさに加え、現場作業に伴う騒音・粉塵・廃材処理などの課題が顕在化しています。実際、建設業の就業者数は1997年(平成9年)の685万人(※1)をピークに、2022年(令和4年)には479万人(※1)まで約30%減少。今後もこの傾向はさらなる減少が懸念されます(※2)。


出典:国土交通省「建設投資見通し」・「建設業許可業者数調査」、総務省「労働力調査」
こうした状況の中、外装施工においては、より少ない人員で効率的に施工できる方法の確立が求められています。また、作業負担の軽減や現場で発生する廃材の削減も重要な課題です。株式会社アーキテクト・ディベロッパー(本社:東京都中央区銀座、代表取締役CEO:木本 啓紀、以下「ADI」)は、こうした業界の課題に対応するため、新築賃貸住宅の外装施工にサイディングプレカット工法を導入しました。
■サイディングプレカット工法の導入メリット
今回の取り組みの中心となるサイディングプレカット工法には、以下のようなメリットがあります。
1. 職人不足でも対応可能な施工環境を実現
現場で寸法を測り、工場でカットや穴あけを行うことで、現場での加工工程をほぼゼロに近づけ、施工時間を短縮できます。配管用の開口部や屋根との取り合い部分など、複雑な加工も専用機械で精度高く仕上げるため、現場での微調整の手間が削減されます。




2. 廃材削減とコスト抑制を両立し、環境負荷を軽減
プレカット工法では、工場での加工時に端材の一部(約10~20%※)を再利用できるため、材料ロスを抑え、現場での廃棄物発生量を削減できます。これにより、環境負荷の低減に貢献するとともに、資源の有効活用が可能になります。
また、従来の現場カットでは1棟あたり2~2.5㎥の端材が発生し、産業廃棄物処理費として1㎥あたり約2.5万円(合計5万~6万円)のコストがかかるケースが一般的でした。しかし、プレカット工法を採用することで、現場での端材発生を抑え、処理コストを削減できます。さらに、施工時間の短縮により、労務コストの最適化も期待できます。
このように、プレカット工法は「環境配慮」と「経済的メリット」を両立する施工手法として、持続可能な住まいづくりに貢献します。
※この割合は目安であり、工場の設備や部材の形状によって変動する可能性があります。
>工場外に積み上げられた、メーカー返却用の再利用端材


>現場で加工を行う場合の廃材量


3. 騒音・粉塵の発生を抑え、安全な施工環境を確保
施工手順に沿って梱包された部材を現場に搬入することで、作業効率が向上します。現場での加工が不要になるため、仮置きスペースの確保が不要になり、材料を切って施工場所へ運ぶ手間も削減。また、取り付け中心の作業となるため、熟練の職人でなくても施工が可能になり、人材不足の解消にも寄与します。
さらに、屋外での切断作業が減ることで、騒音や粉塵の発生を抑えられ、作業者や近隣住民への健康被害リスクを軽減できます。これは、周辺住民への配慮という観点からも効果的であり、より快適な施工環境の実現につながります。
>プレカット工法で施工する場合


>従来工法で施工する場合


4. 施工期間を短縮し、工期の安定化を実現
従来の現場カット方式では、外壁面積約180㎡規模の施工に6人工(6人×1日の作業量相当)がかかるケースもありました。一方で、プレカットされたサイディングを搬入すれば、そのまま貼り付けに専念できるため、多くの場合、工期を2~3日程度に短縮できます。結果として、職人不足の解消にも大きく寄与します。
<サイディングプレカット工法導入効果 – 実例>
神奈川県大和市新築現場(外壁面積644.98㎡)

今回のサイディングプレカット工法の採用により、建設現場の作業負担を軽減し、施工効率を向上させると同時に、廃材削減による環境負荷の低減にも貢献します。また、施工の標準化を進めることで熟練職人への依存を減らし、国内建設業が直面する人手不足の課題にも対応します。
そのため、ADIでは、賃貸住宅市場の動向や需要に応じて、必要な棟数や導入スケジュールを慎重に検討しながら、サイディングプレカット工法の適用を段階的に拡大し、さらなる施工効率の向上と品質の安定化を図っていきます。
ADIは、「美しい暮らし方を住まいから」という企業理念のもと、人々の暮らしに貢献する企業として不動産運用の最適解を創造し、豊かな未来の実現を目指してまいります。
■サイディングプレカット工法の加工現場を紹介
●工場外観・内観
株式会社立枝建工のプレカット工場。ここで精密な加工が行われています。


●プレカット加工機のアップ
専用の機械でサイディングを正確にカット。現場作業の効率化に貢献。


●スタッフが作業している様子
工場内での加工により、現場での手間を軽減。粉塵や騒音の発生も抑えられます。


●プレカットされた部材が梱包されている様子
施工順に合わせた梱包で、現場でのスムーズな作業をサポート。


【出典】
※1 国土交通省「建設業を巡る現状と課題」(2022年発表)
URL:https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001610913.pdf
※2 株式会社ヒューマニック・ヒューマングループ「建設業界の未来予測2023」(2023年発表)
URL:https://corporate.resocia.jp/info/news/2023/20230425_kensetsu_mirai2023
株式会社アーキテクト・ディベロッパー
会社名 :architect developer, Inc.
:株式会社アーキテクト・ディベロッパー
所在地 :東京都中央区銀座4-12-15 歌舞伎座タワー10階
代表者 :代表取締役CEO 木本 啓紀
創業 :2008年10月1日
事業内容:土地活用事業、不動産開発事業、リブランディング事業、プロパティマネジメント事業
関係会社:株式会社スマートクレジット
株式会社リブリ・プロパティ
株式会社メイプル田園
大成ビルディング株式会社
イクセル株式会社
日信地所株式会社
URL:https://adi.jp
