住宅狭小化が進む都市部に新たな選択肢
近年、都市部での収納スペース不足が深刻化する中、トランクルーム市場は拡大を続けています。株式会社キュラーズ(本社:東京都品川区、代表取締役:スティーブ・スポーン)が実施した市場調査では、トランクルームの市場規模は、2008年以来15年連続成長となる770億円を達成。さらに2年後の2027年には、1000億円規模に拡大する見込みです。都市部を中心に需要が高まる「都市型トランクルーム」が、不動産市場での存在感を増している背景について、不動産エコノミスト 吉崎 誠二氏の監修のもとご紹介します。
|東京都23区の「都市型トランクルーム」店舗数は、2008年比で3倍に増加。
約20年前(2000年代初頭)と比べて1戸あたりの平均床面積は20㎡も減少*¹しており、都市部を中心に居住スペースの縮小傾向が続いています。そのような背景の中、2023年度には全国のトランクルーム店舗数が13,000店舗(13,691店舗)を突破し、全国のファミリーレストラン(10,252店舗*²)を超える規模にまで拡大しています。過去10年間で店舗数は約2倍に増加しており、不動産市場におけるトランクルームの存在感が高まっています。特に居住スペースが縮小傾向にある東京23区内では、集計を始めた2008年と比較して2023年の店舗数が約3倍にまで増加しています(※初公開情報)。
コロナ過以降、不動産価格の上昇やトランクルーム市場の有望性を背景に新規参入が増加。市場規模は順調に拡大を遂げており、2027年には1000億円規模に達すると予測されています。
|都市生活者が悩む「収納スペース不足」
キュラーズは、東京23区在住の20~60代男女1,000名を対象に、住居の収納スペースに関する調査を実施しました。その結果、約2人に1人(47.4%)が収納スペース不足を感じていることが判明。特にファミリー層はその割合が57.8%と最も高く、自宅以外に収納スペースを拡張できるトランクルームの需要が高いことが推察できます。
|不動産の専門家が語る「トランクルーム」の需要
社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長
不動産エコノミスト 吉崎 誠二
㈱船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者、(株)ディーサイン取締役 不動産研究所所長を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーション,CREコンサルティングなどを行うかたわら、テレビ、ラジオのレギュラー番組に出演、また全国新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演を毎年多数行う。
■不動産市場の中で存在感を強める「都市型トランクルーム」
都市部における住宅価格、特にマンション価格は2013年頃から上昇しはじめ、全国主要都市に広がりました。2022年以降は、マンション適地の減少や地価、建築工事費の上昇などの影響で都市部の価格が高騰し、新規供給も少なくなっています。このような状況の中、デベロッパーは総額を抑えるために1戸あたりの面積を小さくする傾向にあり、収納スペースを縮小した物件が多く見られるようになりました。また、若年層を中心に狭小物件への志向が強まっていることや、平均消費支出に占める住居費の割合が過去数十年で増加している点も見逃せません。
一方で、断捨離の重要性が叫ばれる昨今でも、多くの人が物を簡単に捨てられない状況にあります。特に子育て世代では、子どもの成長に伴う物の増加や、思い出の品を手放せないという心理が影響しています。さらに、コロナ禍以降テレワークが定着し、自宅のスペースを効率的に活用するニーズが高まりました。このような背景から、外部トランクルームを利用する人が増えています。
従来のトランクルームは、屋外型やビルの一部フロアなど「スペースを貸す」事に特化したサービスが多くを占めていましたが、セキュリティや利便性において懸念が残るケースも見受けられました。しかし、近年ではサービスが多様化し、荷物の無料配送やスマホを使った管理が可能な便利な仕組みが登場しました。また、清潔でセキュリティの高い空間や、利用しやすい立地にある施設が増えたことで、トランクルームは生活の一部として一般化しつつあります。
こうしたトランクルームの進化は、不動産市場にも影響を及ぼしています。住宅の収納スペース不足を補う外部サービスとして、マンションにトランクルームを併設する事例も増加しています。また、トランクルームそのものが新しい不動産投資の対象として注目されており、都市型トランクルーム市場はさらに拡大していくと見られています。
都市部での住宅需要が変化し、外部スペースを活用するライフスタイルが広がる中、トランクルームは単なる「スペースを貸す」サービスを超え、暮らしの新しい形を提供する存在となっていくでしょう。
*¹ 出店:日本フードサービス協会 外食産業市場動向調査
*² 出典:国土交通省 令和4年度住宅経済関連データ
*³ 出典:全国賃貸住宅新聞|全国の管理会社を対象に管理物件における家賃の値上げ状況の独自調査
【調査概要】
■グラフ①
・調査期間:2024年1月~2024年3月
・調査地域:全国
・調査対象:トランクルーム(屋内・屋外)サービスを運営する主要事業者
■グラフ②
・調査対象:東京23区在住の20~60代男女1,000名
・回答数 :1,000名
・調査期間:2024年7月5日(金)~7月7日(日)
・調査方法:インターネット調査
※本調査結果をご利用の場合は、「キュラーズ調べ」のクレジット表記をお願いいたします。
■キュラーズについて
キュラーズは、全国69店舗、41,000室を展開する日本最大級のトランクルームです。質の高いトランクルームサービスやお客様本位の取り組みが認められ、様々な調査においてキュラーズが提供するサービスを評価いただき、2001年の創業以来のべ18万人以上のお客様にご利用頂いております。高まる収納ニーズを背景に、都心部を中心とした高品質トランクルームの出店を強化しています。
キュラーズHP:https://www.quraz.com/
・「キュラーズ駒場東大店」
トランクルームと併設して大型バイクパーキングやキュラーズ初のワインストレージを備えた店舗として2024年8月にオープン。ワインの保管に適した温度・湿度管理を行い、停電時の非常用電源やセキュリティ対策も充実しており、安心してワインを保管することができます。収納本数に合わせてストレージのサイズやタイプを選択可能です。48本 ¥8,800(月/税込)(W800×D500×H640mm)~
住所:東京都渋谷区富ヶ谷2-18-3
サイト:https://www.quraz.com/tokyo/komabatodai
・「キュラーズ渋谷幡ヶ谷店」
2024年11月にオープンした渋谷幡ヶ谷店は、京王新線「幡ヶ谷駅」徒歩4分、甲州街道沿いで車でのアクセスも便利な好立地です。大型バイクパーキングも併設。住宅価格の高騰と居住面積の狭小化を背景に収納ニーズが高まる渋谷エリアにおいて、3店舗目のオープンとなります。
住所:東京都渋谷区西原1-29-5
・株式会社キュラーズ 代表取締役 スティーブ・スポーン
2009年に来日し、屋内型トランクルーム最大手である株式会社キュラーズの代表取締役に就任。 急成長を遂げたトランクルーム市場において、先進的な運営手法で注目を集め、新聞・テレビ等の各種メディアに多数出演。また、米国セルフストレージ団体主催のExpoにて講演を行うなど世界的なトランクルームサービスの普及・促進へ向け精力的に活動を行っている。
■会社概要
名称 :株式会社キュラーズ
本社所在地 :〒141-0032 東京都品川区大崎3-5-2
連絡先 :Tel: 03-4563-1500
代表取締役 :スティーブ・スポーン
従業員数 :211名(2024年1月現在)
創業 :2001年8月2日